先日、営業応援サロンのメンバーから下記の5つについて質問をいただきました。
- お客さんへのヒアリングの注意点
- サイト新規制作する場合の注意点
- ワイヤーフレームの作り方とポイント
- デザイナーへのデザイン要望や伝え方
- デザイナーとのやり取りのコツや注意点
こういう質問をしてくれるあたり、サロンメンバーが積極的に挑戦〜成長しているのがわかってとても嬉しいです。
で、そんな質問をいただいたということは、同じようなことを知りたい方が他にもいるはずだと考え、この質問に対する僕の回答を2回に分けて記事にすることにしました。
1回目の今回は①②に絞り、僕の失敗談も交えながら、初回ミーティングの注意点について解説。
これから初案件に挑もうとしている方や、何度か仕事は経験したけど毎回大変な思いをされた方にとっては、ご参考いただける内容です。
どんな仕事も、初回ミーティングの時点で進めやすさや全体のスケジュールに大きな違いが生まれますが、この記事をきっかけにみなさんのミーティングがより有意義なものとなりますように。
本記事の目次
初回ミーティング

そもそもですが、クライアント様とじっくり打ち合わせできる機会なんて滅多にあるものではありません。
クライアント様もあなたと同じように毎日忙しくされていて、事業目的を達成するために日夜多くの問題と向き合っておられます。
ということは、Web制作という仕事をあなたが任せていただき、円滑に進めるために必要なことといえば、「できるだけ少ない質問で、より多くの情報を引き出しておくこと」です。
同じような質問を繰り返すのは論外ですし、毎日のように質問するのもNG。
いかにクライアント様にストレスを与えず、クライアント様の求める成果物を作り上げるか?
これを重視しながら準備を行い、本番に望む。
これが初回ミーティングです。
僕の場合、初回ミーティングには1〜2時間ほどいただきます。
事前に確認できる場合は、チャットやメールで「ご依頼の目的」「企業の経緯」「現在の課題」についてご教示いただきますが、これができない場合は、ミーティング時に確認することになりますので、結果的に2時間は必要だと思います。
そんな初回ミーティングで確認することは下記の6点。
- KGIとKPI
- デザインイメージ
- 必要なページ
- フォームに必要な項目
- 役割
- 制作費
それぞれ詳しく解説していきます。
KGIとKPI
最優先で確認したいのが制作の目的(KGI)。
「自社サービスを都会の20代男女に向けて紹介し、知名度を高めたい」とか、「Web広告からの遷移先として特定の商品の魅力を徹底的に伝え、購入にまで導けるページがほしい」などといったクライアント様の一番の動機を確認します。
これがないと何を作ればいいのかわかりませんからね。
その上で、公開後にサイトが機能しているのかを判断すべき基準(KPI)も明確にしておきましょう。
ここまで明確にしておくことで、納品後に「検索順位が全然上がらないじゃないか!」などといったクレームを防ぐことができます。
事前にクライアント様が気にするポイントを明確にしておき、それがどれほど実現可能なことなのか?を確かめておきましょう。
また、ブログ機能が必要な場合は要注意です。
デザイン確定後〜コーディング中にクライアント様から「ブログを毎日更新するつもりなんですが、お客さまにはどこで最新の記事を訴求するんですか?」と聞かれて、トップページの構成を大きく見直すことになんてなったら大事故ですからね。(そうです。僕の話です。)
「クライアント様側にWebライティングの知識はあるのか?」とか「どのような狙いで記事を書き、どのくらいの頻度で更新するのか?」といった点は必ず明確にしておきましょう。
- サイトを作る目的、狙い、評価基準、評価周期、納品後の運用方法を明確にする
- 特にブログが必要かどうかは、サイトの運用方針や工数にも影響があるので要確認
デザインイメージ
先に確認したKGIとKPIをもとに、できるだけ具体的にデザインイメージの目線合わせを行いましょう。
特に確認しておきたいのが、「どんなターゲットに対して、どんな印象のサイトを作るべきなのか?」という点。
これによってメインカラーにすべき色やフォントの候補が大きく変わります。
その他、デザイン主体なのか?それともテキスト主体なのか?という点も重要です。
SEOを考えるとテキストで説明する必要があるので、必然的にサイトはテキスト主体のデザインになり、全体としてはシンプルになりがちです。
一方で、デザイン主体でお洒落なイメージを重視する場合、それだけではお客さまに説明することが難しいので、SNSや各種詳細ページの拡充が必要になってきます。
色んなサイトのデザインを見比べる中で、各サイトの会社がどのような戦略で集客しているのかも見えてくるので、ここは慎重に取り組みましょう。
- 色合い、画像、テキストの量の認識をできるだけ具体的に擦り合わせる
- 検索順位を上位に持っていく場合、基本的にはテキスト主体のサイトになる
- デザイン主体のサイトにするなら、SNSなどで大きな流入を別途設計〜運用することが大前提(SNS戦略なども行わずにデザイン主体のサイトでセッション数を増やすためには、その分野における圧倒的な知名度が必要)
必要なページ
デザインの確認する際に、必然的に下層ページにも触れると思います。
そのときに、必ずクライアント様との目線合わせのタイミングで必要な下層ページについて具体的に話し合いましょう。
たとえば「会社概要」のページを作るとなった場合、そのページの中にアクセス案内を載せるか?代表の挨拶へのリンクはどの位置に貼るのか?代表の挨拶はどれくらいの分量を想定しているのか?などなど、面から点へと話を進め、他社サイトを見比べながらできるだけ具体的なイメージを共有することが大切です。
- ワイヤーを作ってから追加されることのないように、サイト制作の目的から逆算して必要なページを決めていく
フォームに必要な項目
お問合せフォームの内容は、サイトによって様々。
基本的にはお客さまが質問に答えやすいように、最初の質問は回答のハードルをできるだけ下げておく方が良いとは思います。
ただし、それ以前にクライアント様がお客さまとやり取りをする上で必要な情報を漏れなく入手できるフォームでなくては本末転倒。
まずはクライアント様が必要としている項目をしっかりとヒアリングしましょう。
これが出来ていると、本当にそれだけで十分なのか?むしろ省けるものはないか?どの順番で回答できるようにすべきか?などと、ディレクション時により効果的なUXを考えられるようになります。
地味ですが、かなり大事ですよ。
- 名前と連絡先だけでよかったり、プランを選んでもらいたかったり、クライアントによって様々
役割
要は、責任の所在を明確にしておきましょうということです。
ここが曖昧だと、いざなにか問題が発生した際に相当揉めることになりかねません。
スムーズ&計画的に制作を進めていくために、これから必要な工程と材料を列挙し、それぞれの担当者や手順、スケジュールを確認しておきましょう。
特にどの段階で「納品」と認めてもらえるのかはハッキリしておくべきですね。
僕は駆け出し当初にここを曖昧なまま着手してしまい、制作会社と揉めたことがあります。
サイトをアップして制作会社からも公開の連絡をもらえたので、てっきり納品できていると思ったら、その1ヶ月後に「クライアント様がデザインを変えたがっているから対応するようにとの連絡がありました。
僕としては納品後のデザイン変更だったので、当然有料かと思いきや、制作会社としてはクライアント様が納得できるまで納品とは認められないとのことで、結局無償で対応することに。
こういうことも実際に起きますので、みなさんはぜひともご注意ください。
- 画像、テキストを誰がいつまでに用意するのか?有料素材を使用する場合、それは制作費として別途請求できるのか?
- サーバーはいつ、誰が、どのサーバーのどのプランを契約するのか?
- ワイヤーは誰が、どのツールを使い、いつまでに仕上げるのか?完成までに何回修正を受け付けるのか?
- デザインはどのツールで、どんなスケジュールで作成するのか?完成までに何回修正を受け付けるのか?
- コーディングはどんなスケジュールで行うのか?納品前のチェック項目は明確か?誰が検収するのか?
- 納品はデータを渡すだけなのか?それとも、サーバーにアップするのか?誰が担当するのか?
- 各工程の確定後の修正は有料であることを事前に確認し、了承を得る
制作費
なんだかんだ一番揉める原因となりやすいのが、お金の問題。
クラウドソーシングを利用する場合は、そちらのルールに則るべきですが、クライアント様と直接やり取りできる場合や、制作会社の下請けとなる場合は、基本的に「前払い」でもらえるように交渉しましょう。
これまた駆け出し当時の僕はこれをやっておらず、納品後の期日を過ぎても全然振り込まれず、連絡してみても「経理担当者が忙しいからもう少し待ってほしい」などと言われ、支払ってもらえないことがありました。
そのときは別の担当者さんに助けを求め、即日対応してもらいましたが、約束を守れないのが論外とは言え、そもそものリスク管理がなっていなかった僕自身のミスでした。
あれ以来、直の案件は前払いを徹底していますし、額が大きすぎて先方がすぐに支払えない場合は、分割して手付金のみ前払いしてもらうようにしています。
チームで制作する上でも、お金で揉めないようにするために制作費を先に支払うというのは有効な手段ですしね。
- 制作費は前払いでもらえるのか?前払いが不可能な場合、手付金として最低でも1/3はいただけるか?
- 各担当者の制作費は明確か?
- 振込先は誰のどの口座か?そこからいつまでに各担当者に振り込むのか?
注意事項

以上が、初回のミーティングで確認しておきたいことでした。
はじめのうちは緊張もすると思いますが、まずは上記の項目を参考にして、自分なりの質問シートを作ってみるのもいいかもしれませんね。
SEOの順位は気安く約束しない
そして、最後のもう一つだけ。
SEOコンサルが不在の案件において、「SEOで上位を狙いたい」という話になったらとにかく気をつけてください。
少なくとも、未経験&駆け出しの人がSEO対策なんて引き受けられるものではありませんし、サイトを制作/リニューアルしただけで改善されるものでもありません。
TwitterやInstagram、LINE、Web広告、マイビジネスなどを複合的に活用することではじめて上位を狙えるものですし、そもそも「SEOで上位を狙うこと」が目的となるとSEO対策の本質から外れてしまいます。
結果を約束できないものであることを丁寧に説明しつつ、「今の段階で最終的にどれほどの結果を出せるかを断言するのは、却って無責任になってしまうのでここではいたしませんが、一年後に私に任せてよかったと思っていただけるように全力を尽くすことはお約束させていただきます」とお伝えするのが安全でしょう。
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この記事が独学をがんばる皆さんのお役に立てたらうれしいです。

