この記事では、未経験からWeb制作を仕事にしたくて勉強をがんばっている人に向けて、案件獲得に向けた準備や見積もり方法、事業サイトの基本構成などを解説しています。
2020年の10月以来、かれこれ400名以上の初学者の方とZoomやチャットを通じて、Web制作についてお話してきました。
その中で、多くの方が特に不安を感じていたのが「営業方法」。
多くの方はWeb制作を仕事にするにあたり、Web制作だけでなく、営業も未経験なので、テキストで学ぶこともできない営業に関しても不安になって当然です。
そこで今回は、僕自身の実体験を交えつつ、これまでのアドバイスや営業応援サロンのメンバーとの日々の会話の中で伝えていることを中心に、未経験の方が案件獲得に向けて「知っておくべきこと」と「準備しておくべきこと」をまとめました。
Web制作を勉強し始める前〜独学中〜営業開始前などなど、営業について少しでも不安を感じたときにご参考いただけるとうれしいです。
それでは、さっそく始めましょう!
この記事を読んでくれた方々の感想



1.マインドを確認する

営業の準備に取り掛かる前に、まずは大切なマインドを確認しておきます。
フリーランスとして生き抜くために持っていてほしいマインドは下記の5つ。
- 動きながら考える
- やらないことを決める
- 教材やアドバイスを素直に再現する
- 仕事を引き受けたら、価格以上の働きで応える
- 自己投資は積極的に行う
①動きながら考える
会社員でもフリーランスでも、いわゆる成功してるといわれている人たちに共通すること。
それは「動きながら考える」。これに尽きます。
新卒でいきなりフリーランスになる人はもちろん、副業として頑張るにしても、子育てしながら頑張るにしても、挑戦には常に不安や悩みが付きもの。
だからこそ、まずは動いてみる。
本当に乗り越えるべき壁にぶつかり、そこではじめて悩む。
限られた時間を有効活用するために、このマインドが鍵になるんです。
モチベーションの低さを理由に行動しない人もいますが、そんな言い訳をしている人に変化は起きません。
そもそもモチベーションって、挑戦中に感じる小さな成功の積み重ねで生じるものです。
もう少し分かりやすく言うと、「やる気スイッチ」なんてものはこの世に存在せず、何かに挑戦して、それをやってる最中に少しずつ楽しくなってくるから「やる気」になれるんです。
挑戦する前に色んなケースを想定してみたけど、実際にやってみたら意外と簡単でなんか楽しくなってきた!なんてことは日常茶飯事ですしね。
②やらないことを決める
ここはちょっと長くなりますが、大切な部分なので読んでいただけると幸いです。
「真面目すぎる人ほど折れやすい」。これは残念ながら真実です。
上場企業で老若男女100人以上に指導経験がある僕ですが、一番指導に苦労するのは真面目すぎる人たちでした。
1伝えれば10理解して臨機応変に行動してくれるタイプの天才肌な人はもちろん、10伝えても1しか理解できないけどとりあえず挑戦しちゃう愛すべきアホな人も全然指導しやすいんです。
一方で、真面目すぎる人たちってルールは絶対守ってくれるし、論理的に考えられるのでリスクも見抜けるんですが、同時に完璧主義すぎる傾向がありました。
こうなってくると成長が遅れる上に、モチベーションを生まれにくくなるわけですね。
Web制作にも同じことが言えまして、事前にあれこれ調べ尽くして一番自分に出来そうな方法を見極め、その全行程を自分一人でやりきるために準備しています!っていう方ほど準備中に挫折しやすいものです。
ということで、まずは「自分がやらないこと=誰かに任せること」を決めましょう。
こういうことを言うと、真面目すぎる人たちから「他の人に迷惑を掛ける可能性があるから、そんな事はできない」とか「自力で稼ぎたいんです」とかって言われるんですが、少なくとも稼ぐってそういうことじゃないんですよね。
ここで話が少し逸れますが、そもそも人間がひとりで出来ることなんてたかが知れてますし、そもそも生まれるときから他の動物達以上に多くの人たちにある種の「迷惑」をかけないと生まれてこれないわけです。
その後の成長過程でも、両親をはじめ多くの人たちに「迷惑」を掛け続けますしね。
でも、その「迷惑」って本当に「迷惑」なんですか?と問いたい!
結論、「迷惑」かどうかは関係性によって変わるものです。
「この子と幸せな生活を送りたい」と思うからこそ両親は子どもがどんなに泣き叫ぼうが必死に向き合い続けるわけです。通常、夜泣きするわが子を恨んだりしないでしょう。
仕事でも同じで、「この仕事を成功させたい」と思う人達が集めっているならそこでは役割を分担して協力し合えるはず。
事前にプロジェクトの目的や作業工程を打ち合わせしたのなら、決して「デザインも自分でやれよ」なんて不満を抱きながら働くデザイナーはいないはず。
だから、他者を頼ることは悪いことじゃないし、他者に迷惑を掛けてしまうかもしれないなんてビビる必要もないんです。
従って、まずは自分が「やること」と「やらないこと」をハッキリさせておきましょう。
こうすることで「自分が集中すべきこと」が明確になり、これに集中して経験を積むことで最終的には「お客様に約束できること」がハッキリします。
この「お客様に約束できること」がハッキリしていないと、誰だって営業できないですし、案件獲得も不可能ですから、「やらないこと決める」というのはとても重要な準備なんです。
僕の場合は「デザインはやらない」と決めていたので、今日に至るまで自分でデザインしたことは一度もありません。初案件からずっと外注してきました。
初心者なら最初の案件は利益をすべて外注費として振り込んでパートナーに「良い仕事」をしてもらう方が、自分ですべてを担当するために何年も学習するより遥かに時間もお金も節約できますし、クライアントやパートナーとの良好な関係構築にもつなげられます。
その分、早い段階で制作体制が整って営業にも踏み切れますよね。
あなたは何をやりませんか?
③教材やアドバイスを素直に再現する
前述のとおり会社員として人材育成にあたってきた僕ですが、成長が遅いだけでなく、後々「悪い先輩」になってしまった人たちは、決まって新人の頃から素直じゃありませんでした。
こちらのアドバイスに対して「いや、でも…」と自分の言動を肯定することから話しはじめてしまうので、結果的に自分の過ちを受け入れられず、改善もできなかったわけです。
Web制作の初学者にも同じことが言えます。
逆にこちらのアドバイスを素直に聞き入れてもらえると、アドバイスした側としては余計に応援したくなりますし、それで失敗してしまった場合は全力でサポートしたくなるもの。
そうして、結果的に人脈を広げることができますし、そもそも経験者の成功方法を追体験することで確実に成長できるので、一切の無駄がないわけです。
相談したなら、まずはその通りに実行してみる。かなり大切です。
④仕事を引き受けたら、価格以上の働きで応える
出世する会社員が「給料以上の仕事」をしているように、仕事が絶えないフリーランスは「価格以上の価値」を提供する人。
たまに「給料以上の仕事はしたくない」なんて人もいますが、そもそも「給料以内の仕事」とは「上司やクライアントの期待通りの仕事」ですし、逆説的なことを言うと「給料以上の仕事をしないと給料は上がらない」わけです。
ということで、「価格以上の価値」を提供することに全集中してもらいたいわけですが、Web制作のフリーランスにとって「求められているものを作れる」というのは当たり前なので、それに上乗せできるものが大切になってきます。
実績が少ないうちだと、たとえば「即レス」「定期的な報連相」「納期厳守」です。
ちなみに、「即レス」については誤解されている人が多いので、ここで補足しておきますね。
「即レス」と「即答」は違います。
「即レス」の「レス」はレスポンス、つまり「反応すること」です。
即答できれば一番良いですが、すぐに答えられないのであれば「確認して12時までにお返事させていただきます。お待たせしてしまい恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。」と返せばいいんです。
スマホで「かか」と打ったら、「確認して12時までにお返事させていただきます。お待たせしてしまい恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。」と変換されるようにしておけば、時間のとこなどを編集して送信するだけ。
1分もあれば余裕でしょう。
僕は会社のトイレや駅のホームで必死に返信していましたが、ちょっとした工夫で即レスは誰でもできますし、徹底することで相手に安心してもらえるのでコスパも最高です。
価格以上の価値を提供し、あなたと仕事をしていきたいと感じてもらえる関係性を築くことを目指してください。
フリーランスは人脈命ですからね。
⑤自己投資は積極的に行う
基本的にパソコンのスペックが、あなたの作業効率の限界です。
基本的にしょぼいパソコンではしょぼい仕事しかできません。
「弘法筆を選ばず」とか言いますが、あなたが弘法大師ではない場合、ここでは一旦忘れましょう。
同じようにフリーランスとして活動する上で、知識をアップデートし続けることはとても大切です。
知らないことは提供できないですからね。
従って、書籍や動画教材、Brainなど、必要を感じたときには一切ケチらずその場で買うというのを自分ルールとして明確に自分に課しておいてください。
また、Twitterなどで誰が無料で配ってくれた資料などを受け取ったら、それらはその日のうちに読み切りたいところ。
無料だからといってもらうだけもらって読んでないというのは、非常にもったいないと思いませんか?
受け取る→読む→感想をツイートする、これだけで知識が増える上に制作者やそのフォロワーとも繋がれるチャンスを得られるので、ぜひとも無駄にしないでいただければと思います。
2.仕事の種類を知る

マインドを確認できたところで、お次はいよいよ営業先について。
フリーランスとして仕事をしていく上で、考えられる代表的な営業先はこちらの5つ。
- 求人サイト
- クラウドソーシング
- 制作会社
- エンド営業
- 同業者
求人サイト
誰でも登録しておくだけで希望に近い案件に出会えるようになる「求人サイト」。
単価も仕事内容も様々ですが、「自分からガツガツ営業できない方」や「副業で続けたい方」はとりあえず登録だけしておいて、定期的に案件一覧を確認するようにしましょう。
稀に未経験採用で高待遇の求人が出てくることもありますので、転職を検討している方には特に最優先で登録とプロフィールの作り込みをおすすめします。
とりあえず無料登録しておいて、求人内容をチェックしておきましょう。
クラウドソーシング
「副業/フリーランスといえば」というくらい定番の案件獲得先となっているクラウドソーシング。
たしかに、初心者にとっては一番営業しやすい環境です。
代表的なものは下記の5つ。
で、これらに共通していえるのは基本的に「単価が低い」ということ。
というのも、クラウドソーシングで発注する方というのは「相場感を知らない」「自分で作れない」「予算が少なくて制作会社に発注できない」というケースがほとんど。
もちろん圧倒的な技術力で引っ張りだこの凄腕フリーランスもいますが、未経験のあなたがそこを狙うのは100万年後の話。
初心者がクラウドソーシングを利用するときは、お金を稼ぐためではなく、今後の営業に向けて実績を積むことに集中しましょう。
未経験でもココナラやランサーズで営業を自動化できるのは事実ですが、とはいえ駆け出した最初の段階で多くの方が提供できるスキルはコーディングかデザインだけのはず。
単一のスキルだけでは案件数も少ない上に、のちのち実績として掲載できなさそうな案件も少ないでしょう。
前述のとおり、Webに詳しくない人はディレクションもデザインも全部まとめてお願いしたくてクラウドソーシングに求人を出しているわけですから、そうしたニーズを考えると、ビジネスの原理原則(詳しくは次の章で解説してます)すら理解していない状態では苦戦を強いられることがご理解いただけるのではないでしょうか?
じゃあ、コーディングスキルしかない上にディレクションなどを外注できる人も知らない…という方はどうすべきなのか?
それはもちろん、制作会社への営業です。
ココナラを利用すれば誰だって営業を自動化できます。
かんさんのBrainのように、その具体的なやり方を学べるコンテンツもあります。
学べるんですけど、決して楽ではありません。
結果的に営業が自動化されれば多少の楽はできますが、そこに至るまでの道のりは地味で泥臭いもの。
だからこそ忠告させてください。
楽して稼ぎたい人にはおすすめしません。
逆に、コンテンツの中で解説されているとおりにプロフィールを作り込み、商品を設計して、0→1のために営業して、リピートにつなげるべく良い仕事に努めることができるなら、このコンテンツはあなたの市場価値を確実に高めてくれるバイブルとなることでしょう。
それだけ具体的で、再現性の高い本質的な解説がなされているのがこのコンテンツです。
僕はこれまでに400名以上に独学や営業のアドバイスをしてきましたが、少なくともこのやり方を徹底して稼げなかったフリーランスだけはマジでひとりも見たことがないので、あなたにもそのひとりになってもらえると嬉しいです。
制作会社

結論、複数の制作会社とパートナー契約を結べて、毎月お仕事が絶えない状態を作れたら、月に50万円は稼げるはずです。フリーランスとして独立できちゃいます。
ということで、制作会社に営業しましょう。
必要なのは「実力」と「営業力」。
デザインを正確に再現できるコーディング力(もしくはクライアントの目的を理解したデザイン力)があり、その上で相手のどんな課題を自分が解決できるのか?を説明するためのチャンスをもらえる営業力があれば、あとはご縁とタイミングの問題です。
コーディング力は勉強すれば誰だって身につけられますね。
営業時に相手に伝える自分の強みなどは、ポートフォリオを作った段階で言語化できてるはずですので、ポートフォリオの構成を上から順番に思い出しながら書いて、メールするだけ。
あとは、勇気を出して営業に踏み切りましょう。
まずはWeb幹事などで地元の制作会社をリストアップするところからです。
300〜500件くらい営業して返信が1件もなかったときは、1回僕にDMください。
エンド営業
WSSクラスの登場で一気に多くの方が挑戦するようになったエンド営業。
要は、法人営業です。
メールなり、テレアポなり、飛び込みなりで直接営業をかけていき、仕事につなげるわけですね。
法人との仕事になるので基本的に高単価でして、営業上手な方は個人でもホームページ制作を200万円で受注したりしています。
ここで求められるのは、当然どんなホームページを作れるのか?ということよりも、あなたに任せることでどれくらい売上や集客力が向上するのか?ということ。
つまり、ビジネスモデルの構築やマーケティング、Webサイトの分析や改善などといった知識が必要になってきます。
これらの知識はどれも独学で学べるものですが、習得までに1年以上の時間が必要。
当ブログでもノウハウや教材を紹介していますし、質問いただければいつでも学習方法をお伝えしますが、裏を返せばいきなり初心者の方にはおすすめしません。
営業手法の学習はもちろん、しっかり実績を積みながら自分でブログなどを運営してWebマーケティングやサイトの分析・改善の知識も身につけていきましょう。
※エンド営業の正しいやり方について独学で学ぶ場合は、WSSクラス代表のそうたさんが書いたこちらのBrainが一番詳しいです。
エンド営業の手法のひとつに、ビジネスマッチングアプリである《Yenta》を使うという手段もあります。
僕は3ヶ月だけ月額5,000円くらいの有料プランを使用し、その期間中に肩書を「経営者」や「代表」「税理士」とされている方だけが候補として表示されるように設定して、ひたすら右にスワイプしてました。
その後は無料プランに戻しましたが、結果的にこのときの活動がキッカケで法人のSNS運用のサポートやSNSコンサル企業の業務代行などを任せていただいたり、経営者同士が集まるクローズドなコミュニティに招待していただけたので、「エンド営業の自動化」を目指したい方には非常におすすめです。
同業者
最後に紹介するのが、同業者に対する営業。
要は、あなたがコーダーならばWebデザイナーの方にアプローチするということです。
多くのWebデザイナーは自分でもコーディングできますが、できることならコーディングは外注したがっている方が多いので、そこの需要に応えるというもの。
最近だとTwitterで話題になったここあさんのココナラチャレンジなどが有名ですね。
これはマインドのところで話した「やらないことを決める」にも通ずることですが、つまりはあなたが「やらないと決めたこと=できないこと」を任せられる人とつながることで、「できるチーム」を作り上げ、自分たちの提案の幅を広げるわけです。
こうなると、あなたも相手も営業力が増す上に、どちらかが営業に成功すればお互いに稼げるという関係性にも発展しますし。制作会社に対しても制作体制が整っていることを説明できるので、より営業しやすくなります。
こうした協業できる相手を複数人作っておくことも、重要な人脈形成のひとつです。
営業をはじめる前にキャッシュフローのことも考えてください。
特に懸念しておくべきなのが「制作費の未払い」。
僕も駆け出し当時にTwitterでご依頼いただいたLP案件の制作費が未払いのままクライアントに逃げられたり、外注相手が音信不通になって制作会社から責任を問われたりと困ったことが何度かありました。
制作会社が約束の日付までに制作費を支払ってくれないことも珍しくありません。
そういうときに、フリーランスのことを守ってくれる保険が《フリーナンス》。
無料で損害賠償補償を受けられる上に、Lancersなどで即日払いも利用できるサービスです。
少ない元手で営業をはじめる方は、万が一に備えて必ず加入されることをおすすめします。
3.必要なものを準備する

ここまでで実際の仕事のイメージを掴めたら、いよいよ営業の準備に取り掛かりましょう。
しかし、その前に理解しておいてほしい「ビジネスの大原則」である4ステップのお話を…
ビジネスの4大原則
- 認知
- 興味・関心
- 販売
- リピート
どんな業種であれ、この4ステップを無視することはできません。
まずはじめに商品・サービスの存在に気づいてもらい(認知)、
その特徴やメリットを想像してもらい(興味・関心)、
購入してもらい(販売)、
そのクオリティに満足してもらうことで使い続けてもらう(リピート)。
この流れを順番・順調に踏んでいくことがビジネスを成功させるための大原則であり、これを逆から準備していくことが、ビジネスを成功させるために必要なステップとなります。
つまり、
まずはじめは、将来的に「リピート」してもらえるくらい質の高い商品・サービスの開発に努めます。
その商品・サービスを「販売」するために、お客さまがそれを利用した際に生じるベネフィットをできるかぎり具体的にイメージしてもらえる説明や、納得できる価格設定を用意します。
用意した説明や価格を伝えて「興味・関心」を持ってもらうために、それらを確認できる資料やWebサイトを制作します。
最後に、それらの存在を「認知」してもらうために営業します。
ここまでをご理解いただいた上で実際の営業準備に取り掛かってもらえると、これからの自分の行動の意味がハッキリするので、モチベーションの低下なども防げるようになります。
この記事ではすでに学習が終わっている前提で話を進めていますので、ここからは下記の2つに取り組みましょう。
- 事業サイトを制作
- ターゲットを選定
「事業サイト」としてのポートフォリオサイトを制作
まずは自分の棚卸からはじめましょう。
自分が提供できる価値(お客様に約束できること)とは?
自分にそれだけの実力があるのか?
これを明確に言語化することが、リピートしてもらえるくらい良い商品・サービスを作るための重要なポイントです。
これを考えるためにも、「事業サイト」としてのポートフォリオサイトを作っていきます。
多くの方は「ただの自己紹介サイト」としてポートフォリオサイトを作りますが、実はその時点でアウトだったりします。
自己紹介だけで終わっても、よほどの実績がないかぎり仕事にはつながりませんからね。
3つの必須事項
営業相手はあなたと仕事をする意味を知りたがっているのに、ありきたりな自己紹介文を読まされただけでは不満と不安が募るばかり。
実際に何をどれくらいできる人なのかが伝わるように、少なくともあなたが「約束できること」「制作費の目安」「ビジョン」を書きましょう。
① 約束できること
すでにここまでで何度か書いていますが、どんなビジネスでもまず最初に決めるべきはこれです。
あなたがお客様に何を約束できるのか?
ここが明確でなければ営業なんてできませんし、事業サイトも作れません。
逆にこれがハッキリしているならキャッチコピーも考えられますし、事業サイト全体の方向性やテキストを考えられるようになります。
また、その約束できる根拠として載せる「実績」に関しては、必ず「それを作るのに費やした日数」を明記してください。
多くのポートフォリオでは、「使用言語」と「担当した役割」しか書かれない箇所ですが、採用する立場としてはあなたの実力をできるだけ定量的に把握することで、他の候補と比較検討したいわけです。
掲載実績の質が高ければ高評価につながりますが、制作の現場では締切が伴うものなので、制作速度も重要な評価基準となります。
② 制作費の目安
あなたはこれから「Web制作ができる自分」を商品として商売するんです。
ということは、「商品の価格」を決めずして営業できませんよね?
「ホームページを作りましょう!」「いくらですか?」「さぁ…」では営業が上手くいくわけないですよね?
そんな自分の制作費の決め方ですが、最も基本的な考え方はこちらの3ステップ。
- 自分がWeb制作で稼ぎたい年間の売上を決める
- それから月→週→時→分と逆算することで分給を決める
- LPの場合とホームページの場合で、それぞれ必要な制作時間(分)と分給を掛け算する
※分給¥33(時給だと約¥2,000)で、LPをコーディングするのに一日240分×7日かかるとしたら、LPのコーディング費の目安は¥33×240分×7日で約56,000円となります。
ちなみに、上記の計算式で導き出せるのはあなたの原価です。
制作会社に提案するなら原価で計算した金額でも構いませんが、クラウドソーシングやエンド営業のときは「原価×3」で計算して、ちゃんと利益も出せるようにしておきましょう。
クライアント都合でスケジュールが変わることなんて珍しくないので、そうしたときに自分が損しないためにも利益率を考えた価格設定は重要です。
仮に利益率を50%とした場合、制作費の半分は必ず自分の手元に残さないといけません。
そうなると、外注費や営業費は残りの半分以内で収めないといけないことがわかります。
駆け出しの頃はなかなか利益を残せなくて困ると思いますが、これが経営の難しさであり面白いところだと思います。(僕は勉強代だと割り切っていたので、最初の3件は利益ほぼゼロでした)
また、多くの駆け出しさんはここで自分のスキルに自信がなくて極端に安い価格を設定をしますが、はじめから安く設定するとあとから値上げするのが至難の業になります。
初期設定は自分の希望価格で用意し、その上で初回限定のテスト価格などといった割引プランを用意するなど、2回目以降の受注時に本来の希望価格で仕事ができる環境を作っておきましょう。
余談ですが、見積もりはできるだけ細かく出しましょう。
分給まで割り出す時点で細かくなるのは想像いただけていると思いますが、項目に関しても同じく細かいです。
クライアントに実際の制作工程を細かくご理解いただくという目的もありますし、「これだけ働くからこの価格なんですよ」と理解していただく狙いもあります。
- ディレクション(企画〜構成)
- デザイン作成/修正
- 制作ページ数
- お問合せフォーム
- ブログ機能
- テキスト作成/修正
- 写真撮影
- 素材用意
- スマホ対応(レスポンシブと書いてもだいたい伝わらない)
- SNS連携
- アクセス解析設置
- Google Maps設置
- 内部SEO対策(meta, title)
- ドメイン取得
- SSL初回設定代行
- 取材・記事作成
- サーバー契約代行
- 保守運用
③ ビジョン
最後にWeb制作者としてのあなたのビジョンを語り、あなたと仕事をする意味を伝えましょう。
間違っても「独学で勉強を頑張りました!」とか「本業の傍ら、寝る間も惜しんで制作に励みます」などと書かないでください。
そうした初心者感をアピールする文章は、相手を不安にさせるだけです。
少なくとも、あなたに仕事を任せたいと感じてもらえない情報です。
伝えるべきは、「Web制作者としてあなたが何を目指しているのか?そのために、何に努めているのか?」
Web制作を通じて、あなたが役に立ちたい人や業界をイメージすることから考えてみてください。
事業サイトの構成案
で、実際に事業サイトはどんな構成にするのかというお話ですが、ここではLPなどに用いる基本的なWebマーケティングの考え方を基に構成を考えます。
つまり、「キャッチコピー」「結果」「実証」「信頼」「安心」「クロージング」「補足」です。
この構成で作成したワイヤーフレームはBrainやnoteで販売していますが、できるだけ節約した方のために構成のポイントを以下でご説明しておきます。
①キャッチコピー
ご自身の強みやビジョンを一言で打ち出します。
「〜します!」とか「〜でお困りですか?」などといったものが一般的です。
②結果
「キャッチコピー」で打ち出したことを軸に、自分にできることを2〜3個列挙します。
③実証
「結果」で挙げたことの裏付けとなる証拠を載せます。
実際に作ったサイトやデザインなどを可能な範囲で掲載しましょう。
④信頼
制作実績や料金表を載せて、実際に仕事としてWeb制作を行っていることを証明します。
多くのポートフォリオに載っていない情報でもありますが、営業相手の方にとっては他の候補者と比較検討するために必要な情報です。
⑤安心
クラウドソーシングでの評価やお客様の声など、第三者によるあなたの評価を載せることで、ここまでに載せたことの説得力をアップさせます。(用意できなければ、最悪省いても大丈夫です)
⑥クロージング
自分のビジョンを語り、お問合せフォームへ誘導します。
自己紹介でもありますが、あなたがいつから勉強し始めたのかなどといった情報は不要です。ここではあなたが何のためにWeb制作を行い、どんな仕事をしたいのか?について語りましょう。
⑦補足
お問い合わせ数を増やすために、あなたに対して興味を抱いてくれた方の背中を押すようなメッセージを添えます。
「初回にかぎりテスト価格にてご対応させていただきます」や「○月までにお問い合わせいただいた方にかぎり、納品後2ヶ月間の修正を無料でご対応させていただきます」などといった期間限定の提案が多いです。
ターゲットを選定
ポートフォリオが完成したら、先に挙げた4つ営業先の中からアプローチしていくターゲットを決めましょう。
自分の実力や実績をもとに、自分が価値提供できる相手を考えてください。
コーディングやデザインといった単一のスキルでしか営業できない場合は、そのスキルを直接必要としている相手=制作会社やデザイン会社、または同業のフリーランスを狙うべきでしょう。
一方で、自分できないことを任せられる相手が複数いる場合は、クラウドソーシングやエンド営業で法人案件を狙っていけますね。
いずれにしても、営業相手は明確に決めることが重要です。
そして、自分が提供したいもの(お客様に約束できること)を相手がどうして求めているのか?を考え、できるだけ具体的にターゲット像を絞ることで、「誰に・何を」提供できるのかが定まります。
ここまで来ると、ついに営業に挑む準備が完了です。
次の章で「営業の基本」を押さえ、実際に営業活動を始めていきましょう!
4.営業方法を理解する

ここまでで必要なものが準備できました。
それでは、いよいよ営業をはじめましょう。
営業相手によって提案文の書き方は変わりますが、ここではそれぞれに対する「書き方」ではなく、誰に営業するにしても大切な「基本」のお話をします。
営業の「基本」
ずばり、営業とは相手に興味を持つことからはじまります。
- 相手に興味を持つ
- 相手が求めていること・困っていることを考える
- それに至った背景や現在の課題に疑問を持ち、質問する
- 相手にとって本当に必要なサポートを知る
- 自分がお役に立てることを考え、提案する
これが営業の基本です。
これを知っていれば、「はじめまして、Web制作を行っている〇〇と申します。ホームページのことでお困りではありませんか?」などというダサい営業をしなくて済みますよね。
「どんなときも顧客目線で考える」とは言われますが、それはこのステップで考えることを意味しています。
そして、この「基本」を踏まえた上で、もう一度【2.仕事の種類を知る】で自分が営業したい相手が求めていることを考えてみると、提案文の書き方も自ずと見えてくるはずです。
クラウドソーシングで発注する人は何を気にしているのか?
制作会社は何を求めているのか?
法人(経営者)は何を助けてほしいのか?
同業者(Webデザイナーやコーダー)は何がしたくて営業しているのか?
ここをしっかりと考え、相手が求めている情報を明確に提示した上で、いつでもすぐに対応できることと一度対面やZoomで詳しくお話を伺いた旨を伝えてください。
いきなり仕事を獲得しようとせず、まずはアポを獲得して、信用を勝ち取ることが先決です。
必要な営業量
だいたいの人は10〜20件で営業した気になるみたいですが、初月は200〜300件くらいは営業できるはずです。
ちなみに、制作会社は一日に300件くらい営業してます。
月間だと6,600件前後ということですね。
そう考えたら、個人で月に200〜300件というのは全然多くないことをご理解いただけると思います。
目指したい月間売上額を基準にして、必要な営業件数を計算する公式もあります。
とはいえ、なんせこれまで一度もどこにも営業したことがない状態ですから、まずは見渡すかぎり営業できる相手全員に片っ端から営業するのみ。
たとえば、クラウドソーシングで100件(クラウドワークスで50件・ランサーズで30件・ココナラで20件)に応募して、同業者100人(Twitterで40人、ココナラで40人、所属してるコミュニティで20人)にDMを送ると、これだけで200件達成です。
ただし、決してその数を一日で営業するわけではありません。
まずは数日掛けて営業先をリストアップしていき、それから提案文を考え、最後にメールをするなり、電話を掛けるなり、飛び込むなりすればOKです。
クラウドソーシングなら、単純に募集の詳細と締切を確認しながら、応募する案件をリストアップします。
制作会社なら、「地元名 制作会社 パートナー募集」などとググってみたり、Web幹事で検索して営業先を探せます。
エンド営業なら、自分がある程度は業界知識のあるジャンルを選び、まずは「地元名 美容室」などと検索し、検索ページの2ページ目以降に表示されるお店をリストアップしてみましょう。
同業者なら、日頃Twitterやコミュニティで会話したことのある人はもちろんのこと、会話したことはないけど実力はありそうな人にも積極的にコミュニケーションを図って距離を縮めておいたり、クラウドソーシング上で活動しているデザイナーやコーダーの方に直接働き方を質問してみて協業の可能性を探り、イケると思った相手には提案してみましょう。
大切なのは、自分の希望単価で働かせてくれるクライアントに出会うまでひたすら営業し続けること。
こうしてパートナーと呼べる法人2〜3社とつながれることを目指していきましょう。
さいごに

ということで今回は、未経験者のために案件獲得までの手順を解説しました。
さいごに、営業活動に関する大切なお話をして終わりとしたいと思います。
営業活動はタダじゃない。
料金表を作るにあたり、自分の時給を考えましたよね。
あれって、制作時にだけ発生するものではありません。
Web制作で稼ぐために必要なすべての行動に伴って発生するものです。
つまり、あなたが営業するときの人件費としても時給は発生しているのです。
もっといえば、電気代なども発生しているはずです。
そう考えると、だらだらと営業はしていられませんよね。
営業活動をはじめる時点で、あなたはすでに「ひとり制作会社」の社長です。
その自覚を持って、営業活動に励みましょう。
まずはスキルを磨きましょう。
最後にいちばん大切なこと。
ここまで読んでいただいたお分かりいただけたかと思いますが、どんな提案をするにしてもまずは「スキルの高さ」が重要です。
Web制作を仕事にする以上、あなたが売るのはあなたのスキルです。まずは焦らず、その質を高めることに集中してください。
その上で、お客様に「約束できること=Web制作ができること」をサービスとして提供するために営業準備に取り掛かっていただければと思います。
そのときに、この記事があなたのお役に立てると幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
ご感想はツイート等でいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
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