あなたの「バイブル」はなんですか?
もちろん人によって様々でしょうし、立場や本のジャンルによっても異なりますよね。
僕にも「バイブル」と呼べる本はいくつもあります。
『失敗の本質』『孫子の兵法』『タイタンの妖女』『鋼の錬金術師』『イシューからはじめよ』『もし上司がアドラーだったら』などなど、今の僕の価値観・考え方の基礎になっていて、日常的に引用しているという意味で、これらは僕の「バイブル」でしょう。
しかし、今回はその中から特に「ビジネスパーソン」として常に僕が思考の拠り所としている一冊『入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法』をご紹介したいと思います。
端的に言うと、「読むだけで賢くなれる」という意味において、全社会人の課題図書にしておきたいくらい有益な一冊です。
本記事の目次
仕事で「言いたいことが伝わらない」と悩んでいませんか?

日々のお仕事の中で、このようなお悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
- 資料を作成しても、上司から「結局、何が言いたいの?」と言われてしまう
- データを分析しても、説得力のある提案に結びつけられない
- メールやチャットだと、相手に思いが正確に伝えきれない
- 会議での発言が曖昧で、なかなか賛同を得られない
実は、これらすべての根本的な原因は論理的に考え、相手に伝える技術の不足にあります。
そもそも現代のビジネスシーンでは、データと論理に基づいた意思決定が求められています。
どんなに素晴らしいアイデアでも、それを論理的に整理し、相手に分かりやすく伝えることができなければ、なかなか理解や賛同を得ることは難しいでしょう。
説得力のあるプレゼンテーション、効果的な提案書、円滑なコミュニケーション——これらすべての基盤となるのが「考える技術・書く技術」なのです。
日本人だからこそ陥る「論理的思考」の落とし穴

「察する」「空気を読む」といった文化の中で育った僕たち日本人にとって、実は論理的な表現って苦手なものなんです。
- 「なんとなく」「〜という感じで」「〜的な」といった曖昧な表現に頼りがち
- 結論を最後に持ってくる起承転結の構成に慣れ親しんでいる
- 相手の立場や疑問に寄り添うよりも、自分が伝えたいことを優先してしまう
海外のビジネス手法や理論を学んでも、それを日本語で論理的に表現し、日本のビジネス環境で活用する技術がなければ、せっかくの知識も十分に活かせないというわけです。
仕事が激変する【3つの武器】

そこで読んでおきたいのが『入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法』であり、学んでおきたい【3つの武器】がこの本の中で解説されている「OPQ分析」「ピラミッド構造」「So What?」。
いずでも、僕のキャリアを大きく変えてくれたフレームワークです。
1. OPQ分析による相手の心に寄り添った思考法
- O(Objective): 相手が目指している理想の状態
- P(Problem): 理想と現状との間にあるギャップ
- Q(Question): 相手が抱いている疑問や知りたいこと
クライアントへの提案を考えるときで言えば、まずクライアントが理想としている状態を明確にし、現状とのギャップ(問題点)を洗い出し、「お客様にとって本当に重要なこと=課題」を考えるますよね。
このときに、上記の3つで思考を整理するだけで、提案の精度と相手への伝わりやすさが格段に向上するんです。
2. ピラミッド構造による情報の体系的整理
ビジネスの現場では、複雑で多岐にわたる情報を限られた時間の中で相手に分かりやすく伝えする必要がある場面もあります。
そんなときは、情報を「ピラミッド構造」で整理してみましょう。

- 結論を頂点に据え、その根拠を体系的かつ論理的に積み上げる
- 複雑な分析結果や調査データも、相手が理解しやすい順序で整理
- お時間が限られている場面でも、重要なポイントから優先的に伝える
3. 「So What?」による本質的価値の追求
データや事実を並べただけでは不十分。
自分のアイディアに対して、常に「So What?(それで、何が言えるのか?)」と問いかけ、深堀りを続けることで、情報の向こう側にある本当に価値ある洞察や提案を見つけられるんです。
経験上、最低でもひとつのアイディアに対して「So What?」を3回繰り返してみると、本質的な要因に近づけると思いますよ。
【実体験】僕の仕事はこう変わりました

そもそも勉強が苦手で、大学受験にも失敗した高卒の僕ですが、気がつけば日々様々な企業の経営戦略を考え、提案し、実行から検証までをサポートしています。
ここに至るまでに色々なことを勉強してきましたが、幼い頃からずっと「学び方」や「考え方」が分からず、教わる内容を理解はできても、それを自分のこととして落とし込むことができないというのが長年の悩みでした。
結果からいうと、その悩みを解決できたのがこの本です。
この本で学んだ思考のプロセスを素直に真似するようになったことで、仕事のあらゆる場面で精度が上がっただけでなく、日々の学習の理解度や応用の質、そして何よりもコミュニケーション能力が格段に高まったと思ってます。
文章を書き始める前にピラミッド構造で考えを整理するため、いざ資料を作ろうとなったときには思考が整理されていて、迷うことなくMECEな状態でスムーズに執筆できるようになりました。読み手の疑問や関心に的確に答える構成になるため、クライアントから承認をいただける確率は大幅に向上しました。
単なる数字の羅列ではなく、「この結果から何をすべきか」という提言まで含めた報告ができるようになりました。クライアントから「とても分かりやすい」「説得力がある」とお褒めの言葉をいただけたのも、エビデンスを明示しながら理解しやすい表現を意識しているので当然です。
メールやチャットでのやり取りが格段にスムーズになりました。誤解や行き違いが減少したのは、会議での発言が論理的で明確になったから。何をするにも他者との目線合わせは最重要ですから、ここでヌケモレや行き違いが減ったのは仕事だけでなく、プライベートにも大きな影響がありました。
当たり前すぎるこの本が分かりやすい理由

今回おすすめしている『入門 考える技術・書く技術――日本人のロジカルシンキング実践法』は、そもそもバーバラ・ミントさんによる世界的名著『考える技術・書く技術』の日本語版の訳者である山﨑康司さんが、英語とは言語体系や文化の異なる日本人向けに書かれた『考える技術・書く技術』の入門書。
ロジカルシンキング関連の書籍は世の中に溢れてますが、理論中心で実際の業務に応用しにくいものが多いのも事実。
しかし、当たり前ですが、山﨑さんご自身がOPQ分析やピラミッド構造、So What?を駆使していらっしゃるからこそ、この本の内容は徹底して本質的ですし、何より分かりやすい。
元々読解力の低かった僕ですら「なーるほど!」と思えたくらい分かりやすく、しかも内容が洗練されているからこそ200ページもないくらい薄いというのも特徴です。
とにかく「賢くなりたい!」と思うなら最初に読むべき本がこれです。
- 日本語特有の表現や文化的背景を深く理解した上での、具体的で実用的なノウハウ
- 「察する文化の中で論理的に主張する」という、日本独特のビジネススキルの習得
- 専門用語や難解な理論に頼らず、どなたでも理解しやすい丁寧な構成
- 単なる知識の習得ではなく、明日からすぐに実践で活用できるスキルの体得を重視
まだの方は今すぐ読んでください!

ビジネス環境の変化は日々加速しています。
競争もますます激しくなっています。
同じ情報や資料を扱っても、それを論理的に整理し、説得力を持って相手にお伝えできる方とそうでない方では、キャリアに大きな差が生まれてしまうのは当然。
AI技術が急速に発達し、これまで以上に格差が大きく広がり続ける現代だからこそ、人間にしかできない「相手の立場に立って考え、心に響く表現を考える技術」の価値はより一層高まることでしょう。
そんなときに「時間ができたときに読んでみよう」というのでは、あまりにももったいないと思いませんか?
この本で学んだ知識は、まさに明日からの仕事で即座に活かすことでしかあなたの役には立てません。
会社員とかフリーランスといった働き方は関係ないんです。
ビジネスパーソンとして更なる成長を目指すなら、この本を読むことを心からお勧めします。
自分の思考力や文章力、コミュニケーション力に悩んでいるなら、今がこの本を読む絶好のタイミングです。